「病は口から」

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「病は口から」

一人の人間として、母として、ドクターとして痛感した事があります。
全ての健康は口から始まっているという事。
口に入れる物で身体を形成し、口に残った食べカスなどをしっかり落とすことで、歯を健康に保ちます。
害のあるものを口に入れ続ければ、身体は必ずいつか支障をきたします。
そして、歯できちんと噛めなければ、身体も歪み、食べ物も限られ、身体も脳も弱っていきます。
麻酔科医として手術室に入っていた時、ある老人が息を引き取る前に「アンパン食べたい」と言ってご臨終したのをとても鮮明に覚えています。
人と食、これは切っても切れない縁です。そして人を良くすると書いて食。
正に食べる事は人の喜びであり、生きるという意味なのだと思います。

歯科医は虫歯の事だけを気にしていると思っている方も少なくはないと思います。
しかし、少なくとも私の考えは歯も身体の一部として診察します。
必ず初診の方の血圧を測り、身体の大きさなどを見ながら診療を進めます。

虫歯はそれこそ長い間人々を死に至らしめた死因のランキング上位の病気。
江戸幕府14代征夷大将軍、幕末時代の徳川家でわずか『13歳』で将軍になった人物であり、
満20歳(享年21歳)という早死にしてしまった
徳川家茂(いえもち)。

彼は脚気で死んだとされています。
当時、貴重品であった献上品の羊羹、氷砂糖、金平糖、カステラ、懐中もなか、三色菓子など甘いものを好み、
虫歯や脚気の原因はこれらの食べすぎだと言われています。
頭蓋骨に残存する31本のうち30本が虫歯だったと言われており、虫歯の歯ばかりだった為に栄養吸収が弱く体力がなく、
虫歯などの炎症が持続したことでビタミンB1不足が生じ免疫力が低下し、脚気を起こしたと言われています。
平安時代の日本現存最古の医学書「医心方」に、「朝夕歯を磨けば虫歯にならない」という記述があり、
家茂の時代でも歯磨きはできたはずでは?と思います。
そして、この頃に食育という教育があれば、このような事態にはならなかったかもしれません。本当に残念な話です。
しかしこのように虫歯が原因で亡くなったという話はこの時代は沢山ありました。
虫歯は細菌感染です。
細菌が歯を溶かす病気・・・だけではなく、神経(歯髄)を殺し、骨(歯槽骨)も壊し、炎症を起こし、
場合によっては血管内にも入り込み、= 菌血症となり免疫でも太刀打ちできずに全身に運ばれてしまうと、= 敗血症として助かることは出来ません。

今の時代、虫歯が直接死因という事はなかなかありませんが、身体の中で起きていることは必ず他へと良くも悪くも繋がっていきます。

あらゆる物の入り口となる『口』。
口から全身の予防と健康を目指しましょう!

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